学術・理論(生物学)

ライントランセクト調査による個体数の区間推定5

さて、$ \hat{w} $、$ n $、$ \bar{s} $の分散をそれぞれ考えてきました。また一番最初の記事で紹介した Var[D] \cong \left( \frac{n \bar{s}}{2L \hat{w}} \right)^2 \left(\frac{Var[n]}{n^2} + \frac{Var[\hat{w}]}{\hat{w}^2} + \frac{Var[\bar{s}]}{\b…

ライントランセクト調査による個体数の区間推定4

今回は$ \bar{s} $の分散について説明します。 まず、何も調整を行わずに、単純に得られたデータの群れサイズを平均する場合です。この場合は、 \bar{s} = \frac{1}{n}\sum_{i=1}^{n} s_i とするだけです。siはi番目の群れサイズを表します。分散は、 \begin…

ライントランセクト調査による個体数の区間推定3

さて今回は発見群数$ n $の分散について考えようと思います。 まずは皆さんに問題です。ある海域において、1kmのライントランセクト調査を行った翌日、同じ海域で2kmの調査を行ったとします。ただし、天候や有効探索幅などの条件はすべて同じであると仮定し…

ライントランセクト調査による個体数の区間推定2

前回の記事の続きです。今回は$ \hat{w} $の分散を考えます。そのために、前回扱ったデルタ法を一般の二変数に拡張してみます。 確率変数$ X_1,X_2 $があり、それぞれの期待値を$ \mu_1,\mu_2 $とします。それらを説明変数とした任意の関数$ f(X_1,X_2) $の…

ライントランセクト調査による個体数の区間推定1

ライントランセクト調査において、個体数密度の点推定値は以下のように与えられます。 \hat{D} = \frac{n \bar{s}}{2L \hat{w}} \tag{1} ここで、$ n $は発見群数、$ \bar{s} $は調整された群れサイズ平均、$ L $は調査コースの全長、$ \hat{w} $は有効探索…